FOMCからジャクソンホール会議へ移行する議論

NEKO PARTNERS INC. マネージングディレクターの岩倉です。


先週開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)会合では参加者18人のうち13人が23年末までに少なくとも1回の利上げがあると予想、7人は22年中に利上げがあると見込んでいることが分かりました。22年中に利上げがあると予想する参加者は前回に比べ3人増えたことになります。


上図FOMCの参加者の先行きの見通しを表すドットチャート(会議前アンケート)からは、2023年予想の政策金利の中央値は0.625%と年に2回(計0.5%)の利上げの見通しが示されています。


FOMCで投資家が最も注意を払っているのは、FRBによる大規模資産購入の段階的な縮小開始(テーパリング)の時期とその見通しについてです。それについてパウエル議長は「テーパリングの開始は経済データを確認したうえで具体的な議論に入る」と、これまで通りの考えを示すに止まりました。


FOMC議事録要旨(抜粋)

FRBは雇用の最大化と物価の安定という目標を推進するためにあらゆる手段を使うことを約束する。FOMCは雇用の最大化と長期的な2%のインフレ達成を目指している。物価上昇率がこの長期目標を下回る状態が続いており、当面は2%よりやや上のインフレ達成を目指す。
景気動向は新型コロナウイルスの感染拡大に大きく左右されるが、ワクチン接種の普及によりその経済に与える影響は小さくなる可能性は高い。しかしながら経済へのリスクは依然として残っている。
政策金利であるFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標レンジを0~0.25%に据え置く。労働市場がFOMCの雇用最大化の判断と一致する水準に達し、尚且つインフレ率が2%に上昇して当面は2%を上回るところで安定するまで、この目標レンジを維持することが適切と予測する。
FRBは国債保有を少なくとも月800億ドル、住宅ローン担保証券の保有を少なくとも月400億ドル引き続き増やし続ける。これらの資産購入は円滑な市場機能と緩和的な財政状態の促進を助け、家計と企業の資金流動性をサポートする。

前回のFOMCと主だった内容に変更はありませんが、早期の利上げを主張するタカ派の傾向が強まったとも見えます。事実、FOMC後のマーケットは「利上げ時期が前倒しされた」と受け止めたようです。現実的なテーパリングの議論開始や利上げ時期に対する明確な発言は無かったものの、急激な米経済の回復で「副作用」とも取れる現象は散見されており、改めてFRBの対応に注目が集まるでしょう。テーパリングついては、8月26日から各国中央銀行首脳らが参加するジャクソンホール会議へ議論の場が移行する展開となりそうです。



FOMC後の週末18日、ニューヨーク市場では早期利上げへの警戒感から売りが先行しダウ平均株価は前日比-533.37ドルの33,290.08ドルでした。寄前に米セントルイス連銀のブラード総裁が「インフレ目標がFRBの2%目標を上回っていることを踏まえ、2022年後半に利上げを予測している」と発言したことが警戒感を強めました。


S&P500は前日比-55.41の4,166.45、NASDAQは前日比-130.97の14,030.38ポイントと揃って下げ、S&P500は4日続落、ダウ平均は5日続落となりました。ダウ平均株価の日足は10本連続の陰線引けで75日移動平均線を割り込みました。これまで株価を牽引してきたリフレトレードが、早期利上げへの警戒感から解消された動きと分析しています。




東京市場の日経平均株価は週初2日間は上昇したものの後半3日続落、週末18日の終値は前日比-54.25円安の28,964.08円でした。テクニカル的に見ると再び5日移動平均線に上値を抑えられた形です。


今週の相場展望


今週の東京市場は、FOMCとニューヨーク市場の株価下落をどう織り込むかが注目点です。そこで米国債の金利推移を見てみましょう。FOMCを受けて米国債(GT10:GOV)10利回りは一時1.57%と前日の1.49%から上昇しましたが、その後は1.44%に落ち着いています。

一方、国内情勢を見ると10都道府県に発令されている緊急事態宣言が20日を期限に沖縄を除いて解除されます。ワクチン接種も順調に進んでおり、1ヶ月先に開催される東京オリンピックにも期待が高まっています。

企業の業績一もセクターによっては好調に推移しており、大きく売り込まれることはなさそうです。25日移動平均線28,750円が下値のサポートとして安心感もあり、底堅い展開が予想されます。


NEKO PARTNERS INC.

Managing Director/Public Relations

FUMITO IWAKURA


20th Jun 2021