米国インフレ懸念とテーパリングへの警戒感

NEKO PARTNERS INC.マネージングディレクターの岩倉です。


5月17日の日経平均株価は-259.64円(0.92%)の27,824.83円でした。先週は13日から3日間で2070円も下落する不安定な展開です。台湾、シンガポールで新型コロナウイルスの感染が再び拡大したことや、国内での変異種による感染者増加など嫌気されたものと思われます。しかし、株価を弱気にさせる根本的な原因は、これまで市場を牽引してきた米国市場の変化であると考えています。



5月12日に発表された米国の4月消費者物価指数(CPI)は、前年同月比+4.2%と市場予想の+3.6%を大きく上回りました。これは2008年9月以来12年7ヵ月ぶりの伸び率です。食糧・エネルギーを除くコアCPIも同+3.0%(市場予想+2.3%)と1995年10月以来25年6ヵ月ぶりの急伸となります。CPI、コアCPIが市場予想より大幅な上昇を見せたことで米10年国債(GT10:GOV)利回りは1.7%近くに上昇、ダウ平均株価は前日比-681.50ドルも下落しました。「インフレ懸念が高まることで金融緩和政策が方向転換されるのではないか」という警戒感から売られたものです。




米国では4月から期待インフレ率の上昇圧力は強まっていました。BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)は上のチャート=USGGBE10Yを見れば高い水準で推移していることが分かります。物価上昇から生じる人々のインフレ期待が名目利子率に織り込まれるフィッシャー効果(名目利子率=実質利子率+期待インフレ率) の懸念はくすぶっていたのです。


FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は「物価上昇は一過性のもの」と再三発言していますが、予想をはるかに上回るCPIに驚いたことでしょう。昨年からのコロナ禍による経済停滞からの反動とはいえ、急激な物価上昇ペースにはFRBも警戒感を強めるものと思われます。


FRBが金融緩和策の縮小(テーパリング)を検討するに当たっては経済の十分な回復が必須としています。それには「雇用の最大化」と「物価の安定」という2つを満たすことが必要です。雇用の最大化とされる目安は、トランプ政権での失業率3.5%が意識されると思います。しかし、米国の失業率は未だ6%を超えており完全雇用へは時間がかかるでしょう。


史上最高値を更新し続けてきた米国市場ですが、ここにきて不安定な値動きとなっています。金融緩和の縮小を検討するには時期尚早ですが、引き続き長期金利と物価の動向に注意が必要と思われます。



NEKO PARTNERS INC.

Managing Director/Public Relations

FUMITO IWAKURA


17th May 2021